デンマーク人は沈黙が苦手

デンマークの人たちは、沈黙を嫌います。日本人だと、小学校のころから黙とうする機会が多かったので(もしかして今は違っているのかもしれませんが)、私は沈黙が流れても、割と平気です。私の在籍している、コペンハーゲンのユング派分析家養成コースでは、毎回、ドリームマトリックスというものが行われます。これは、参加者が椅子に座り、思い浮かんできた夢を次々述べて集団で夢を共有する、というものなのですが、その時々で、椅子を丸く並べたり、ランダムに並べたり、次々夢の報告があったり、沈黙が長かったり、いろいろです。この前の時は、ファシリテーターが初めての某外国から来た先生、ということもあり、沈黙が長ーくありました。そうすると、みんなそわそわして、何かしら言わなくちゃ、という気持ちになるみたいです。ファシリテーターの先生も、沈黙が長いですねと、ちょっと居心地悪そうでした。

この某外国から来られた先生は、「私は、ホットなクライアントの方が得意」と言っておられました。「ホットなクライアント」とは、文句でも何でもガンガン言ってくるタイプのクライアントさんのことです。その先生は、クライアントとの関係の中で生まれるお互いの気持ち」を扱うのを得意とされているのですが、例えとして、「I don’t like you」と言ってくるクライアントを挙げて、ご自分の対処法を述べておられました。それはそれで納得なのですが、私は、「日本人でダイレクトに、『あなたが嫌いです』と言ってくる人は少ないだろうな」と思いました。日本人は、他人の気持ちを察したり、間接的に気持ちを表現することの方が得意だからです。「言霊」という概念もありますね。言葉に魂が籠るという。私たち日本人は、心に思うことを簡単に口にすることに躊躇を感じると思います。

そんなわけで、セラピーにはセラピストのパーソナリティーが反映します。一緒に信頼関係を結べそうなセラピストを、嗅覚鋭く探してください。