デンマーク人の転職事情に思うこと

私がデンマークに来たのは、今から云十年前のことですが、その時から今に至るまで、デンマーク人同僚のフットワークの軽さには感心させられてきました。というのは、転職の話です。今現在の職場環境に不満がある場合(たいていの人はあると思いますが)、デンマーク人の場合、能力のある人ほど、どんどん他に活躍の場を求めて出て行きます。そして、そういう能力のある人達を受け入れるマーケットも開かれている、のですね。私は大学で長く基礎研究に携わってきたのですが、大学にポジションが足りないのは、日本もデンマークも同じです。しかし、上が詰まっていてポジションがない状況の時、デンマーク人同僚たちは、さっさと大学に見切りをつけて、某インシュリン関係の大会社またはその系列会社の研究職へと移っていきました。そしてそこで高いポジションを得て、大学の元ボスと対等に共同研究したり、共同研究のための資金集めをしたりと、関係をこじらすことなく上手に付き合っているのでした。この風通しの良さ、とフットワークの軽さには、目を見張るものがあります。

日本人研究者の場合(自分も含めて)、なかなかこの見切りがつけられない、もう少しもう少し頑張れば(状況が変わるかもしれない)とあてのない努力を続けているうちに、転職の時期を逸してしまうということが、多々あるように感じられます。そして人間関係をこじらせて、恨みつらみに悶々としている人も多そうです。現状を打破するために、方向転換してみることが、日本人は苦手なのでしょうか?「置かれた場所で咲きなさい」という本がありました。それはそれで素晴らしいことですが、これは何というかちょっと植物的ですね。せっかく動物に生まれたからには、動く、という手段に訴えることも学んだ方が良いのでは、と思いました。

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